
「ボートレーサー=低身長・軽量」の常識を覆しながらも長年A1級レーサーとして活躍する秘訣とは?
海野康志郎の経歴
楽しみを全て捨て過酷な道を往く
選手情報

| 支部 | 期 |
|---|---|
| 山口 | 95 |
幼少期
海野康志郎は山口県山口市の出身です。
記憶は曖昧も「従妹のゆか姉ちゃん(海野ゆかり)の影響で七夕の短冊にも(将来の夢はボートレーサー)と書いていた」と物心ついたときにはボートレーサーになることを考えていました。
中学校卒業と同時に養成所へ入所を狙うも血液数値が異常を起こし不合格となっており、山口私立野田学園高等学校進学後に2度目の試験を受け合格。
その後、高校を中退する形で95期生として養成所に入所をしています。
養成所時代

高校を早々に中退しバイト経験や部活の上下関係も特に理解していなかったため、同期の中では歳下ながら「同期はみんな兄弟」のスタンスであり周囲もそれは理解しており、弟キャラとして接してくれたと当時を振り返っています。
95期には後のボートレース界のスターである峰竜太がおり当時について峰竜太に対して「今と同じで真剣さが無いバカだった」と回想しており、峰竜太は海野康志郎に対して「自頭が良く何を言っても論破されそう」という印象を抱いていました。
海野康志郎は県内屈指の偏差値を誇る山口大学付属中学校の出身、峰竜太は高校時代から文武両道で法政大学、早稲田大学からも推薦が届く秀才。
整備の練習では常にトップを争い「何でこんな簡単なことが出来ないのか?」と不思議な顔をして眺めていました。

両者共に自分の主張が激しく相手の意見を認めないゆえ養成所時代一番喧嘩をしたのも同時に峰竜太でした。

デビュー節に初勝利
2004年11月11日にボートレース下関でデビュー。節間中の11月16日に早くも初勝利を達成しました。
2007年にボートレース下関で抜きで初優勝を決めると翌2009年にはA1級にも昇級。これ以降は崩れることなくA級を長年継続しています。
その性格ゆえ先輩レーサーから怒られることも多かったが、「真面目にやるのは無理。早くA1級にあがらないと生き残る道は無い」と3期上の先輩である大峯豊と誓い合っていました。
記念を制覇
2019年1月にボートレース江戸川でG1初優出も転覆失格と苦い結果に終わりました。
しかし翌月に行われた中国地区選手権にて2枠で再度優勝戦に進出すると前付けに来た5号艇の白井英治を入れる形で3コースからの捲りを決めG1初優勝を決めました。
地区選手権の副賞として同年のボートレースクラシックの優先出走権利を獲得し同年3月にSG初出場。最終日には初勝利も挙げています。
究極の挑戦
一般戦を中心に優勝を積み重ねてきた海野康志郎にとって転機となったのが2024年。
この頃からベストコンディションの60㎏前後をはるかに下回る50㎏台前半にてレースに挑むことが増え始めました。
何度か減量を断念してきた中、「体重が重いから結果が出ない」という声を覆すべく本格的に挑戦をすると好成績を収め翌年には2025年には4つのSGに出場。
同年のグランプリシリーズでは初めて予選を突破と活躍しこれまでとは違う舞台での活躍を見せました。
SGの中のSGで好成績を収める
2026年は前年のSGの活躍によって出場が決まる「SGの中のSG」グランドチャンピオンに初出場。
予選18位の通過の6号艇ながら内側の艇がやり合う中で展開を掬う形で2着争いを制すると2004年のデビューから実に23年目でのSG初優出を果たしました。
伸び型のプロペラゆえに自身の売りである前付けからの勝負に出ることは自重するも、レース最終日も52㎏と他の選手と同等の体重をキープ。
6着入線ながら最高峰の舞台を無事に完走。来年のSG出場権利を得る大きな1節間となりました。
海野康志郎 エピソード
師弟関係
師匠

師匠は同じ山口支部の新良一規。
山口県は大きく分けて「下関(西側)・山口(中間)・徳山(東側)」で分かれており山口市出身の海野康志郎と師弟関係になるのは必然的な出来事でした。
レーススタイルについて
業界にあまり存在しないタイプながら結果を出し続ける海野康志郎。
それゆえにレースに挑むにあたって人とは異なる様々な努力や工夫を施しています。
コース取り
勝負駆けや6枠戦ではピット離れや前付けで内側を主張してくることが多い。
本人曰く「重いので何かを特化させると何かを失う。離れが悪くてもコースは前付けで主張すれば良い」と上位着を奪うために貪欲な姿勢を貫いています。
当然この姿勢はプラスに出ることもあればマイナスとなることも多く、失敗をした際には自身のSNSへ誹謗中傷が相次ぐという。
ハンドル調整
ボートレース界で一番ハンドルを硬くする調整しており、それを片手で難なく操る選手。
海野康志郎が整備をしたハンドルを他の新人選手が動かそうとするも片手で動かすことが出来ないレベルとなっています。
訓練生時代からハンドルを硬くする調整を続けており、養成所時代から接点があった1期上古賀繁輝から「ハンドルが硬い方が稼ぐ!」と言われ真似したことがきっかけ。
しかし、半年後に古賀繁輝はレーサーとなった直後からハンドルが軽い選手に転向したため「裏切られた」と当時を振り返っています。
※95期生の面々曰く94期はスター集団で古賀繁輝はどこにいても目立つカリスマ的存在だった
「ハンドルを硬くすることで操縦性が安定する」というポリシーを掲げ、今更それを変えることは無理と断言。
自分より硬い選手は知らないどころか、これでも緩くした方とそのオリジナル性を強調しています。

ボートに装着されてる「スプリング」と呼ばれる部品を締め付けたり緩くすることで硬さの調整が出来ます。
プロペラ作り

体重が重くても戦える選手であることを証明するべくプロペラにも強いこだわりを持っています。
その独特な形や曲げ方は他の選手が受け取ると対応するのが困難と言われるゲージを常に持ち運び全国のレースを転々としています。
自身が使用したプロペラを次節で受けとった峰竜太がある節間にて優勝したことで「こじ4」と呼ばれるプロペラゲージが流行。どんなエンジンでも力を引き出せるとして記念クラスの選手の間で一時期ブームとなりました。
なお自身のプロペラの形で多くの選手の間で広まったことに嫌気が差して新たな形のプロペラを生みだそうとするなど探求心が強い一面も兼ね備えます。
体重とレースの関係

大半のボートレーサーが50㎏台の前半の体重でレースを繰り広げる中、時には60㎏を超える体重でもレースを行う海野康志郎。
「もっと痩せろデブ!」と厳しい言葉がSNSに対して常に届いていますが、173cmとレーサーとしては長身の部類であり海野康志郎自身も体格がボートレーサーに向かないことも自覚しています。
それゆえに体重毎の変化については業界一詳しく「60㎏も63㎏も一緒ではない。1㎏毎にレースは簡単になる」と減量をしてレースを挑むたびに自分がいかに難しいことをやっているかを痛感するかを複数のメディアにて証言しています。

しかし骨格がしっかりしており身長のある海野康志郎にとって減量は人一倍過酷。
節間中は食事はおろか水すらロクに飲めず栄養不足で倒れてしまったり、日常生活でも満足食べれないストレスを避けるべく追加斡旋を受けて気持ちを紛らわせるなど古典的な方法を取り入れ勝負駆けの際にはレースに挑んでいます。
何度か倒れる中で自身の限界がどこか?を見極めが可能となり、無理をし過ぎない範囲での体重調整も出来るようになってきましたが、「人生に楽しさが無くなった」と過酷なレーサー人生を送っていることには変わりはありません。

体重はやる気の規準として思われることを快く思っておらず「選手によってベストの体重があり、(体重が軽くても)力を発揮出来ないなら意味は無い」と語っています。
地元を出禁にされる

2022年10月にボートレース徳山の優勝戦に1号艇で進出。
この際に2号艇の赤岩善生がピット離れを決めて1コースを奪取しようとしたことに対して海野康志郎がボートの後ろに乗り上げる形で接触。
すると1コースを奪ったはずの赤岩善生は見る見る内に沈没して行き全艇が一度ピットへ引き返しレースが中断。
結果として赤岩善生は欠場、売り上げの多くが返還。
レースは5艇によりやり直しとなり1号艇の海野康志郎が優勝を飾るも不良航法の判定が下りレース後の優勝パレードも無いまま幕を閉じレース後はSNSで様々な意見が飛び交う事態に。
これ以降、地元を代表するA1級レーサーながら約2年半にも渡ってボートレース徳山からの斡旋がかかることなく2025年6月に約2年半ぶりに斡旋が再開されました。
ゲーム系YouTuber
自身のYouTubeチャンネル「海野康志郎ボートレースch」では主にライブ配信の形で趣味で行うゲームの様子を公開。
時には半日以上にも渡って配信を続けることもありその種類も様々となっています。
あくまで自分や選手間でゲームをしている姿を公開しながら視聴者やファンとの会話を楽しむことを第一としており「自分はボートレーサーです」と職業を聞かれ断言。
選手間でゲームをしている際は勝手に配信されている時もコラボをした記憶がないのに後で相手が発覚することもあります。

峰竜太は「海野は養成所の時も社会にでもこういうところは一切変わらない」と先輩や歳上相手でも臆さず良くも悪くも堂々としている姿を称しています。
海野康志郎 まとめ
レーサーとしては致命的とも言える「173cmの体躯」というハンデを背負いながらも、海野康志郎は決して言い訳をせず、独自のモーター調整と極限の肉体管理でトップ戦線を走り続けてきました。
「結果を出さないと意味のない世界」、「太く長くはやりたくない。細く短く生きたい」と語りまさに命を削る覚悟で自分自身との戦いの果てにどんな大金星を掴むのか。
悲願のSG初タイトルへ向けて、その魂を燃やし続ける海野康志郎の戦いはこれからも続きます。
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