ボートレーサー養成所はボートレーサー目指す上で必ず入学をしなければならないプロへの登竜門。しかし、その道は決して平坦ではありません。
全国各地の同じ夢を志す人たちを蹴落とし、まずは夢への第一歩を掴むために必要なこと、知識とは？
今回はボートレーサー養成所に入学するまでの道のりを紹介していきます。
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ボートレーサー養成所
歴史
場所
〒839-0263
福岡県柳川市大和町大坪54-1
移転の歴史
1966年から選手を訓練生として育成するシステムが確立され山梨県に本栖研修所が創立されました。
本栖湖にボートを卸して実技研修が行われていたこの時代は冬の季節がとにかく大変であり、凍り付いた水が顔や身体中に飛んで来たり、1つの操縦ミスによって極寒の水面に転覆、落水は命の危機を感じるような訓練が日夜行われていました。
また水面が凍り付くことで研修プログラムに支障が生じるとして、2001年により福岡市柳川市への移転が行われ現在に至ります。
かつて本栖研修所があった場所は現在では臨済宗 佛光山本栖寺となっています。
ボートレーサー養成所
1日の流れ
ボートレーサー養成所は入所から1年間に渡って管理下に置かれる形で候補生達は厳しい生活を行います。
まずは1日の簡単な流れを紹介していきます。
ボートレーサー養成所の生活①
毎朝恒例の乾布摩擦
ボートレーサー養成所の朝は早く6時ピッタリに放送が入ると一斉に始動。3分以内に自分が使用している布団を畳んで外へ集合。
男子は上半身裸で乾布摩擦、女子はダンベルを持ち上げこれが終了するとモーターボート体操を毎日行います。
候補生達は常に団体行動。
時間までに集合できなければ全体や同部屋の連帯責任としてペナルティーが科されます。
ボートレーサー養成所の生活②
課業
朝食が終了し8時から17時までの時間は課業として決められたプログラムを消化。
その内容は座学、モーター整備、プロペラ作成、そして時期が進むにつれてボートの操縦といった実技的な内容へと進んでいきます。
ボートの操縦は最初は個々にオールが渡されそれで一定の距離を往復するところからスタートし座った体制での旋回（通称 地蔵ターン）、最終的には身体を浮かせた状態での旋回（通称 モンキーターン）と段階を踏みながらボートに乗るコツや操縦方法を習得していきます。
モンキーターンが誕生した当時は習得が含まれてないどころか安全面から禁止事項とされていました。
候補生達の中には本栖湖に霧がかるタイミングで奥の方へ行き実務教官に見えないところで密かに習得に励もうとしていました。
ボートレーサー養成所の生活③
同期リーグ
ボートの操縦の技術、方法を学び終わる養成所の中盤～終盤の時期に入ると同期の候補生達によるリーグ戦（通称 同期リーグ）が開始されます。
同期リーグは実際のボートレースの節間と同様に得点率形式で予選・準優勝戦・優勝戦と戦いが繰り広げられ各リーグ戦毎の優勝者を決めていきます（1節間は2日～3日で実施）
そして同期リーグにおいて成績上位の候補生達は卒業直前に行われる修了記念競走に選出。ここで最終的に優勝戦を勝ち上がった候補生は養成所チャンプの座に輝きデビュー前からファンに注目をされやすくなります。
必ずしもそうとは限りませんが早い段階で活躍している選手は同期リーグ時代から抜けた走りをしていることが1つの条件となります。
ボートレーサー養成所の生活④
自由時間
夕食を食べ終わり、掃除～就寝となる21時までの時間は自由時間として候補生達に猶予が与えられ、この時間に入浴を行ったり、お菓子屋やアイスを食べたりと訓練生達の憩いの時間となっています。
ボートレース養成所に設置されているアイスの自動販売機は「九州一売り上げた」と教官が語る様に候補生達にとってのストレスの捌け口の1つであり、埼玉支部の石田貴洋は「1日に10個もアイスを食べたのはあの頃だけ」と自身のYouTubeにて当時を振り返っています。
平高奈菜などを輩出100期生は一期上の99期生の影響でお風呂に雑誌や本を持ち込んでおり、教官が入ってきた際には窓からその雑誌を外に投げ捨てていたと証言をしています。
ボートレーサー養成所⑤
一斉消灯
掃除、点呼が終了すると22時には一斉に電気が消されてそれぞれが布団に入り1日が終了。
朝から夜まで管理下に置かれ分刻みの厳しい1日を過ごすことから候補生達にとって睡眠は貴重な時間となります。
ボートレーサー養成所
知るべき点
ボートレーサー養成所は選手となる上で必ず通らないといけない道であり現役選手の多くが「2度と戻りたくない」、「今だったらあんなことは出来ない」と振り返るほどの厳しい生活を1年間に渡って強いられます。
ゆえに、養成所試験を合格、その中には2世レーサーと言われる候補生達がボートレーサーとしてデビューできずに去って行きます。
ここからはボートレーサー養成所での厳しい生活内容について見ていきましょう。
ボートレーサー養成所の世界①
外部との連絡方法
ボートレーサー養成所ではスマートフォンなど通信機器の持ち込みが禁止されます。現代的ではないと思うかもしれませんが、プロのボートレーサーとなれば通信機器は荷物検査時に預けることになるのでその下準備という考え方も出来ます。
外部との連絡方法は手紙でのやり取り、もしくは設置された公衆電話により自由時間に連絡を取るという古風な手段が用いられています。
候補生の多くは中学・高校を卒業、中退して飛び込んでくるため初めての団体行動や親元を離れての厳しい生活に耐えれず家族に電話をして「辞めたい」と口にすることも珍しくはありません。
ボートレーサー養成所の世界②
食事
候補生達は厳しい体重管理を強いられ毎日体重計での測定が義務付けられています。
ボートレーサー養成所では毎日数種類のメニューが決められており候補生達はその中の中から選択をして朝、昼、夜と3食の食事を行います。
ただし、一定の体重を超えるとボート操縦を禁止され、練習を行った他の選手達のボートを陸に上げる補助係や最悪の場合は部屋で何もしないで待機を命じられますが、毎日の食事についてはご飯の量はおかわりが自由。これについては「食べれる物なら食べてみろ」とプレッシャーをかける意味合いがあると言われています。
食事量を管理する一方で体重測定を毎日行う様に義務付けていない時代も存在しています。
ボートレーサー養成所の世界③
班別試験
入所した半数の候補生達がデビュー至らず退寮を強いられるのは厳しい生活から逃げ出すだけではありません。
ボートレーサー養成所には一定期間ごとに「班別試験」と呼ばれる試験が行われ、これを合格できない場合に即退寮となります。
候補生達は成績によってユニフォームが定期的に変更されます。
成績優秀者から白・黒・赤・青・黄・緑と枠順と同じ色となっており、このユニフォームカラーは水上訓練の枠番に反映され養成所生活の後半になるとユニフォームごとに部屋番の入れ替えが行われます。
ボートレーサー養成所の世界④
いつ休めるか？
ボートレーサー養成所内の完全休養日は日曜日の午後のみとなっています。
ただし外出をすることは出来ず、養成所内で自由にしていて良いということであり、テレビ視聴、漫画や雑誌を読む、ストイックな候補生だとこの時間を利用してトレーニング、整備練習、学科の自習を行う場合もあります（ボート操縦については危険なため禁止されています）
またこの時間に関しては自動販売機（アイス・ジュース）の利用も自由となります。
夏休み、年末年始の2度の期間には約1週間から10日間に渡って外出が許可され基本は自宅へと帰宅をし家族や友人との久しぶりの再会を楽しむ機関となります。
ボートレーサー養成所の世界⑤
飲酒・喫煙
養成所内には売店がありますが、酒類は用意されておらず禁止されています（当然ですが外部からの持ち込みも禁止）
ただし喫煙に関しては寛大であり20歳以上の候補生達に関しては規定の時間であれば許可されています。
※候補生達の大半は20歳未満のためいずれも国の法律で認められていません
ボートレーサー養成所の世界⑥
暴力問題
決められた規則を守らない、反抗的な態度を取るなど10代後半から20代前半にストレスの溜まる管理生活を強いられる中で発生する中で発生する教官と候補生によるいざこざ。
これに関しては事実をうやむやにしていますが、現役の選手達の一部が養成所時代を振り返る際に「〇〇教官にはお世話になった」、「当時は厳しかったから〇〇が教官にボコボコにされていた」と意味深な発言をすることから存在していると見て間違いはないでしょう。
そして候補生内同士でのいじめや喧嘩も時によっては発生することもありますが、ボートレーサー養成所内は複数個所に監視カメラが設置され行動は教官達によって逐一チェックされているので、問題行動をしていると気づかれた場合には放送が入り教官室へと呼び出される仕組みとなっています。
ボートレーサーの元訓練生が不起訴に対し不服申し立て【指導中暴力】
過去には元訓練生がこのような暴力行為に対して裁判を起こすも「嫌疑不十分」としてこの事案に対して不起訴の判決を下しています。
しかし時代の変化と共に今では指導補法にも変化が生まれつつあり、候補生側も情報社会ゆえの特典かしっかりと対策を練る人が増え、両者の立ち回り方は以前と大きく異なります。
ボートレーサー養成所
1年間の先に待つもの
1年間の厳しい生活、そして他の候補生たちを蹴落とし生き残った約半分の候補生達に与えられるものを紹介していきます。
ボートレーサーは国家資格
プロのボートレーサーとして活躍をするためには卒業時の資格検定試験を合格する必要があります。
この時に与えられる資格は国家資格でありこれを持つことでレースへの出走が認められます。
入所前（年齢制限の問題で場合によっては入所後）には小型船舶操縦免許証を自費で取得する必要があります。
高収入
ボートレーサーという職業は「高収入」、そして「一生稼げる職業」と言われている通り例えB級レベルの選手であっても生活に困ることが無いくらいの収入が約束されます。
当然活躍の度合いによって等級が上っていきG1、そしてSGクラスともなれば年収数億円を手にすることも可能な夢のある世界が待っています。
賞金ランキングの総額以外としてWebに表示される物以外にも無事故や出走する時間帯によってボートレーサーには様々な手当てが普及されます。
栄光・名声
1節間を戦い抜き優勝に輝けば通常生きている上では得ることが出来ない快感、ファンからの歓声を浴び主役の立場や名声を得ることが出来ます。
ボートレース場や大会によっては救助艇を使用に乗車をしてのパレード、賞金とは別にスポンサーからの副賞もプレゼントされ賞金と同様にグレードや注目度の高い大会になるほど表彰式も派手になっていきます。
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まとめ
このような過程を歩んでいるからこそ、ボートレーサー同士の同期の絆は強く、初勝利、初優勝などのタイミングで同じ節間になると水神祭で共に水面に飛び込み喜びを分かち合う絆が生まれ、その関係は例え何年が経とうとも選手を辞めない限り続いていきます。
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