〔無念〕金子龍介現役引退を発表

「金龍」の愛称で知られている兵庫支部の金子龍介の現役引退が2023年4月25日に発表された。

一般戦を中心に活躍し2020年にはSGボートレースダービーの優勝戦にも進出したベテランレーサーだが、2021年に起きたあの悲劇の事故から1年半。最後まで水面に戻ることなく去ることとなった。

金子龍介とは

金子龍介元選手の情報を紹介していきます。

プロフィール

名前	支部	期
金子龍介	兵庫	77

金子龍介は1973年に兵庫県に生まれる。

金子の祖父が海軍造船所にて「海龍」という舟を作り上げたことにちなんで代々に渡り子供に「龍」の名前を入れていることが名前の由来となっている。

中学卒業後にはオーストラリアへ留学を経験帰国後は国際専門学校へ入学も留年（本人曰く行く留学については学校が無かっただけ）

10代後半にフリーターとして過ごすもその頃にパイロットだった父親からの助言でボートレーサーの道を志すも4度の不合格を経験するとボートレース尼崎でレース用のボートを管理する艇運のアルバイトを行いながら試験を受け続け7度目の挑戦で養成所入学を勝ち取る。

77期生の同期には佐藤大介、五反田忍、石田章央、田中豪などがおり1995年のデビュー以降は長年に渡りA1級のレーサーとして活躍。

2006年にボートレース下関で行われた競帝王決定戦で6号艇（本番は5コース）ながら強烈な差し切りを決めてG1初制覇を達成も2018年に痛恨のF3でB2落ちを経験。しかしこれにへこたれることなく不屈の精神で即A1復帰を果たすと2年後の2020年に3本目のFを切ってしまったSGボートレースダービーで生涯で唯一のSG優勝戦に進出を果たした（結果は6着）

そして2021年8月、金子の人生を大きく変える悲劇が訪れる。

優勝戦の悲劇

2021年、ここまで2度の優勝、13度の優勝戦進出とまさに絶好調だった金子は2021年8月27日にボートレース住之江で行われた「日刊スポーツ盾争奪第55回しぶき杯競走」の優勝戦に2号艇で出場。

しかしこのレースは6艇の内の4艇が転覆、落水の事故に巻き込まれる大惨事となってしまった。その中でも特にダメージが大きかったのが金子と言われており加速をつけたまま衝撃で跳ね上がったボートが金子の頭を直撃しレース中に意識を失ってしまった。

これだけの大事故にも関わらず運営側から特に情報が公開されないことに批判の声が相次いだが事故から約1年後の2022年6月に日本モーターボート選手会が公開した「令和3年度事業報告書」の中に記載されている「重傷者一覧」にて脳内出血などによる療養中であることが明らかとなる。

同年秋に一時的な処置として選手登録を抹消も症状は回復することなく現役引退が発表された。

養成所に入るまでも苦労をし22歳という少し遅めのデビューを果たした苦労人は終わってみれば1773勝、257回の優勝戦進出、60回の優勝と77期の誰よりも出世を果たし怪我をした同年の4月にもG1 マスターズチャンピオンでも優勝戦に進出するなど年齢を重ねてますます活躍が期待された中での悲しい引退の報道でもあった。