ボートレース漫画 モンキーターンを振り返る
現在でも多くのファンを持つボートレース漫画モンキーターン。
今回はその漫画の魅力や個性的な登場人物、物語を徹底紹介していく。
モンキーターンとは
まずはモンキーターンに関する基礎知識や物語について説明していく。
書籍詳細
漫画モンキーターンは週刊少年サンデーにおいて、1996年から2005年まで全385話連載され、今までで一番読者に読まれているボートレース漫画だ。
作者は河合克敏でモンキーターンのほかにも、帯をギュッとね!、とめはねっ!鈴里高校書道部などがある。
このモンキーターンは、ボートレースという世界を出来る限り忠実に再現しているのが特徴。養成所に入所からデビュー、SGやGⅠで活躍するまでの人間模様にクローズアップしていて、読者のみならず日本船舶振興会からもボートレース初心者の入門書として推薦されるほどである。
実際に、漫画モンキーターンを読んでボートレーサーになろうと決心した選手も数多くいるのはとても有名な話だ。
物語の流れ
野球に青春を捧げてきた高校球児の波多野憲二は夏の甲子園予選で敗退。
その後ボートレースファンの担任教師と、この高校を卒業したボートレーサーOGに連れられてボートレース場に。その時に体験したモーターボートの躍動感とモンキーターンの興奮に一発でとりこになり、ボートレーサーを目指すことになる。
ボートレーサーを養成する本栖研修所の試験を無事に突破した波多野は、班別試験では最下位に終わり落ちこぼれ組からのスタートも苦しい訓練を経て大きく成長。本栖チャンプ決定戦では盟友洞口雄大との激闘を制し養成所を卒業する。
ボートレーサーとしてデビュー後は弟子を取らないで有名な古池勘一に弟子入りを懇願し師弟関係を結びレーサーにとって重要なエンジン、プロペラ調整を学ぶ一方で「レースで一番大事なのは勝利よりも人の命」とかつて弟子を事故で失った古池の経験を胸に波多野は人間としてもひと回り大きく成長していく。
同期の青島優子は波多野のことが好きだったが、洞口に結婚を前提に告白されて一時は交際するも洞口とのレーススタイルの見解の違いで破局。
その後、波多野に恋人がいることを知りながら告白をして交際が始まり物語終盤は三角関係になるが、最終的に波多野は幼馴染を選び、青島は波多野をボートレーサーとしての目標と位置づけて活躍と淡い恋愛ストーリーも随所に盛り込まれている。
洞口親子が多額の費用を掛けて完成させたプロペラ「洞口スペシャル」で怒涛の勝利を上げていくのに対し、波多野は色々な選手と出会いや経験で成長とライバル関係である両者は対照的な描き方をされながらもトップレーサーとして成長を続けていく。
登場人物
ここからはモンキーターンに登場するキャラクターを紹介していく。
なお物語に登場するメインキャラクターの多くが実在する選手をモデルに作られており2005年に連載が終了後の現在でも艇界のトップ戦線にて活躍しているという選手も多く存在している。
波多野憲二(はたの けんじ)
物語の主人公。
高校時代は野球部に所属するも自身の身長の低さが理由でスクイズを失敗。チームの甲子園を賭けた夏の大会が終わってしまう。
その後、高校のOGで現役ボートレーサーの萩原麻琴、担任の教師よりボートレーサーへの道を勧められたことをきっかけとして養成所試験を受け合格。
厳しい養成所での期間を乗り越えデビュー後は地元の東京支部に所属。
デビュー節のボートレース平和島でエースモーターを引き当てるも転覆失格となってしまいエンジン整備に苦悩した際にアドバイスを送ってくれた古池勘一に弟子入りを志願。古池はこれを断るも自分に勝つことが出来れば弟子入りを許す条件をつけ挑んだボートレース江戸川の一般戦で見事に勝利し師弟関係が結ばれる。
その後はレーサーのイロハを教わっていき、プロペラ巧者で減量のプロながら一匹狼だった和久井錠司、デビュー当初から面倒を見ていた兄貴分の浜岡猛など波多野の人を寄せ付ける性格もあってかプロペラ小屋は多くの選手が出入り。これが結果としてそれぞれの相乗効果へと繋がっていく。
恐れを知らないスタート勘と古池、和久津という2人のプロペラ巧者の出会いから大外枠から勝負をするアウト屋としての才能が開花。デビューからわずか3年で全日本選手権競走(現 SGボートレースダービー)を制覇しSG選手の仲間入りを果たした。
一方でデビュー当時からフライングの多さは常に付きまとっており出場停止期間中はプロペラ小屋に通い詰めることもあれば家族や恋人と旅行に出かけるシーンも頻繁に見られる。
順風満帆に進んでいたボートレーサー人生だったがレース中の事故で左手に大怪我を負い長期のリハビリによる戦線離脱、切断寸前からの長時間に渡る手術の跡が左手には大きく残ってしまった上に雨の日には違和感にも悩まされることになるようになった(この怪我をきっかけに高校時代から趣味の1つでもありペラ小屋に通うのに欠かせなかったバイクに乗るのを止め後輩レーサーの車に同乗するようになる)
同期の洞口雄大とは養成所以来のライバル関係であり犬猿の仲。物語が進むにつれ選手として意識するだけではなく洞口が思いを寄せる青島優子との恋愛関係でも敵対視されることが増えていき最終回までその関係が周りから見て良好となることはなかった(ドリーム戦の公開インタビューで洞口が波多野の恋愛事情をイジって客席の笑いを誘うレベルには改善)
モデルとなったのは「東都のエース」として今もトップ戦線を走り続ける東京支部の濱野谷憲吾。
作者の河合克敏がボートレースに関する漫画を描くためにレース場へ訪れた際に2マークで強烈なモンキーターンで勝利をした濱野谷の姿を偶然見たことから漫画のモデルになった。
「モンキーターンを読んでボートレーサーを目指した」と語るほどの知名度を誇っており若手レーサーが濱野谷に初めて会った際に感動をするのが恒例となっている。
2007年ボートレース平和島でSGボートレースクラシック優勝時に同年3月まで同場がモンキーターンのキャラクターがメインビジュアルとして採用した関係で表彰式では濱野谷と波多野が並んだり、2021年のSGオーシャンカップ優勝をした7月25日は波多野憲二の誕生日と不思議な縁で結ばれている(この際に表彰を担当した芦屋町長の名字も波多野だった)
洞口雄大(どうぐち たけひろ)
波多野とは同期で物語において最後までライバル関係となる。
父の洞口 武雄は愛知支部を代表するベテランレーサーでありデビュー前から「洞口ジュニア」として注目を集めるも養成所のチャンピオンは波多野に譲っている。
父と同様に愛知支部に所属するとデビュー直後にプロの舞台で優勝を飾り若き天才として注目を集めるも物語の中盤のSG優勝戦でフライング失格をしてしまい記念レースの出場権を1年間剥奪。自室を滅茶滅茶に荒らすなど自暴自棄に陥るも自室の窓を割って部屋に入ってきた父の武雄と和解しこの事件を機に弟子入りを果たす。
※現在の規定ではSGの優勝戦のペナルティーは2年間
その後は莫大な費用と特殊な加工技術により製作されたスーパーキャビテーションプロペラ(通称 洞口スペシャル)を武器に記念戦線へ復帰を果たすも全日本選手権(SGボートレースダービー)の優勝戦では1周ごとにスピードを失っていく洞口スペシャルの弱点を見抜かれた波多野に敗れた。この際に苦し紛れに波多野へダンプを決めに行くもかわされ洞口はエンストで失格。浜名湖の一般戦にて武雄から強烈なダンプを食らったことがある波多野が言い放った「親父さんのダンプはそんなものじゃなかった」は作中の名言の1つとなっている。
物語の終盤になるとアウト屋の波多野に対抗するべく父の命令でイン屋へ転向。当初はスタート位置の見え方やタイミングに苦しみ不振に陥るも克服し新たなプロペラと共に活躍。
極端な戦法やレーススタイルが荒く裕福な環境で一人息子という形で育てられた影響からか時に心無き言葉を言い放つことを無意識に言い放す面があり恋人関係にあった青島から「他人の気持ちがわからない」と批判され破局。
しかし物語終盤には自身のレーススタイルや発言と向き合いクリーンなレース運びを意識。様々な経験と苦労を経て愛知支部を背負う若きエースレーサーは賞金王の優勝戦にて波多野との最終決戦に挑む。
モデルとなったのは愛知支部の仲口博崇。現在の仲口は外枠はもちろん時に強烈なピット離れから枠を問わず1コースを奪取する艇界でも少なくなったインファイターの1人としてA級レーサーとして活躍。
仲口の師匠である大嶋一也(引退)が当時愛知支部を代表するイン屋として有名であり洞口のレーススタイル、そして大嶋と仲口の師弟関係が洞口親子の師弟関係のモデルになったとも言われている。
モンキーターンの作中で描かれた洞口スペシャルと呼ばれる特殊ペラをヒントに元長崎支部に所属していたペラ巧者の中村亮太は「亮太スペシャル」と呼ばれるピット離れ仕様の特殊ペラを完成させ人気選手へと成長した。
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榎木祐介(えのき ゆうすけ)
物語の中盤以降に「艇王」と呼ばれ登場する最強レーサー。
高速ピット離れからの内のコース確保、道中の驚異的な旋回による巻き返し、逃げ、差し、捲りと自在な攻めなど1つの隙も見せない完璧なレース運びを展開する。
波多野とは全日本選手権競走(現 SGボートレースダービー)で初めて出会う。
この際にトップ戦線で活躍する選手のペラが気になる波多野からの提案に対して「優出を果たしたら見せてあげる」と約束。波多野は目標を達成したことで公約を果たしておりその研究熱心な姿に好感を持つ。
以降も波多野、洞口ら下の世代のビックタイトル獲得時の最大の壁として物語の最後まで君臨し続けた。
圧倒的強者のオーラを出す一方で他のレーサーとは積極的に意見の交換を行い、物語の終盤には波多野と共に蒲生秀隆の自宅へ泊りがけで遊びに行くといったりと社交的な一面も兼ね備える作中きっての完璧人間。
モデルとなったのは榎木と同様に「艇王」と呼ばれボートレースアンバサダーを務める植木通彦と山口支部のレジェンド今村豊。
榎木の顔にはレース中の事故で負った特徴的な傷があるが、これは植木が現役時にレース中にプロペラで顔面を切り裂かれてしまい75針の怪我を負ったことがモデルとされている(なお怪我をしたボートレース桐生を復帰の場に選んだ植木のエピソードは波多野が左手の大怪我を負った後に怪我をしたボートレース福岡を復帰の場に選んだことのモデルとなっている)
現実世界では植木は濱野谷が2007年に優勝を飾ったSGボートレースクラシックにて1号艇でフライングを切った責任感から現役引退を決意している。
蒲生秀隆(がもう ひでたか)
一般戦の鬼として登場した愛媛支部の男子レーサー。
独特の感性を持っておりエンジンの音の良し悪しで整備が揃ったかを判断することから変人扱いをされるも艇王の榎木に「整備の天才」と称されるエンジン整備には絶対的な自信を誇る(榎木の1期にあたるとはいえ作中で数少ない敬語で話す選手の1人)
その一方でペラ作りにはまったく興味が無いため後輩に一任。その代わりに自身のエンジンの出し方の極意を教えるという取引を行っている。
SGの優勝戦にて自身のフライングにより多額の返金騒動を犯したトラウマから「気楽に走れる一般戦にて最低限稼げればいい」というスタイルを貫くも、丸亀の一般戦に参戦してきた波多野に負けた悔しさから記念以上のレースが中心の波多野にリベンジをすることを目標にトップ戦線への返り咲きを決意。物語の終盤にはSGの常連選手の1人として波多野の新技のVモンキーを封じる刺客としての役割も果たした。
プレイボーイかつレース場以外では仕事の話はしたくないと言うほどオンとオフがはっきりしており波多野が初めて蒲生と出会ったのも先輩レーサーに丸亀の前乗りの夜に連れていかれた小料理店だった。
モデルになった選手が度々話題になるも、作者の河合克敏は蒲生についてはモデルがいないと言及している。
潮崎俊也(しおざき しゅんや)
物語の序盤から登場する群馬支部の若手エースレーサー。端正なルックスと茶色く染めた長髪で女性人気が高くデビューしたばかりの波多野の最初の壁となった選手。
波多野がボートレース桐生で初優勝を上げた際には桐生の水面に慣れている潮崎ならという考えから思い切ったダンプを浴びせられている(この危険を恐れないプレーを理由に波多野は師匠の小池と破門の危機に至る)
物語の中盤になると新鋭王座(現在のルーキーシリーズ・ヤングダービー)から記念やSGの舞台へ戦うステージが変化。ベテランが多い記念やSGの舞台にて若手の波多野とは雑用係を共にするシーンが増えていくことで交流が深まる。
コース取りやレース捌きには若手ながらクレイバーな一面を見せることがあり物語の終盤までSG常連レーサーとして活躍を見せた。
モデルとなったのは2022年に電撃引退した山崎智也。
同じ群馬支部で当時絶大な女性人気を誇る上にビジュアルについてもモデルとなった山崎を忠実に再現。
山崎は作者の河合克敏の漫画のファンでもありモンキーターン以外の作品をいくつも愛読している。
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洞口武雄(どうぐち たけお)
「愛知の巨人」という愛称で知られる愛知支部のベテランレーサーで洞口雄大の父親。
ベテランレーサーらしい進路取りはもちろんのこと、道中では強気なダンプを狙ってくる事が多く新人時代の波多野と浜名湖の一般戦でレースを行った際にもプロの洗礼を浴びさせた(しかし、これは洞口がレーサーと波多野のことを認めている裏返しでもあった)
レーサーとして全国各地を休み無く飛び回り病弱な母親と家庭を疎かにする父に息子である雄大は強い敵対心を持っていたが、SGの優勝戦でフライングを切ってしまい部屋に塞ぎ込む雄大の部屋のガラスを割り無理やり侵入するなどプライベートでもレース顔負けの強行策を披露しこれを機に息子と師弟関係を結ぶ。
このような強引さばかりが目立つ一方で有体力学に関する大学教授とタッグを組みペラについての意見交換を行い選手同時で群れ合うことは無くとも唯一無二のペラ作りを行うといったクレーバーさも兼ね備える。
雄大と和解後はスーパーキャビテーションプロペラ(洞口スペシャル)の導入、イン屋への転向を助言するといった雄大の成長の一役を買った。
選手としては物語の中盤に転覆事故で大怪我を負った影響からSG戦線から脱落。最終回直前は年間賞金ランキング19位以下のSGグランプリシリーズ選手として出場し青島ら女子選手とグランプリ優勝戦をモニターで見届けた
モデルとなったのは2021年に現役を引退した大嶋一也。
上述でも触れたとおり仲口の師匠であり愛知支部の誇るイン屋として1999年のSGグランドチャンピオンを制覇した実績を持っておりコースを果敢に奪いに行くその姿勢は仲口や赤岩善生が現在も引き継いでいる。
引退直前の半年間に49勝、7度の優出、2回の優勝、勝率7.34という好成績を記録しながら「身体がボロボロで言うことを聞かない」という理由から引退を表明した(引退することを決めて挑んだ半年間だったからこそ驚異的な成績を残せたと引退時に語る)
櫛田千秋(くしだ ちあき)
福岡支部に所属する女子レーサー。
「グッピー」の愛称で知られSGの舞台でも男子を相手に強気なレース運びをすることから地元の後輩である青島を始めとして多くの女子レーサーがその実力とレースへの姿勢を尊敬している。
支部を問わず後輩レーサーへの的確なアドバイスや叱咤激励も頻繁に行っておりもどかしさや煮え切らない中途半端な攻め方を特に嫌う。
女子選手の武器である体重の軽さだけで戦っていることを連想させる失言をした波多野に苦言を呈しており多くの男子レーサーにもそのような目で見られていることを理解した上で実力でそのような雑音を黙らせることを信条としている。
地元のボートレース若松で行われたSGオーシャンカップでは先頭を走ってSG制覇も予感させた中で洞口 雄大の強引なダンプで舟が顔面を直撃しヘルメットを直撃しレース中に一時気絶。その後意識がないままレースを走り終えるとレース後に医務室でSGの優勝戦を何も覚えてないまま走っていたことにショックを受け号泣。その後は救急車で病院へと搬送された。
※なおこの際に事故を負わせた洞口を叱責した田胴 満のモデルとなったのはミスター若松として現在もトップ戦線で活躍する田頭 実。
櫛田のモデルとなったのはベテラン女子レーサーとして現在も賞金女王争いの常連に君臨する寺田千恵。
現在は岡山市部に所属する寺田は結婚前は福岡支部に所属しておりビジュアルの再現率も山崎をモデルに作った潮崎と同様に高い。
漫画連載中の2001年にボートレース唐津で行われたSGグランドチャンピオンで女子選手として史上初めてSG優勝戦に進出し1号艇を飾り地元の上瀧和則の自爆当然の前付けを食らったりと当時は女子選手への風向きが悪かった。
なお物語の中では最後まで成し遂げられることのなかった女子レーサーのSG優勝は連載が終了した2005年から17年後の2022年に遠藤エミがSGボートレースクラシックで達成し漫画の世界を超える出来事となった。
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青島優子(あおしま ゆうこ)
波多野や洞口と同期の女子レーサーで福岡支部に所属。
そのルックスからレーサーとしてだけではなくアイドル的人気を誇りグラビア雑誌で特集されることもあった。
デビュー時は優秀な成績で卒業した養成所時代と一転して伸び悩んでいた時期もあったが、フライング休み中に碧南の特訓所で波多野と再会。波多野が自分には合わないが青島には合うかもしれないと言われ渡されたプロペラとレーサーとしての助言を貰い覚醒。
A1級へ昇格し物語の終盤には女子王座決定戦競走(現 レディースチャンピオン)でG1初制覇、SG出場と櫛田や萩原と共に女子トップクラスを走る選手の1人に成長。
作中の中盤では洞口と恋愛関係となるも相手の気持ちがわからずに発言をしたり強引なレーススタイルを貫く洞口への思いが無くなり破局。その後は幼馴染で彼女の生方澄と長年恋人関係にあった波多野に告白し迷いながらも波多野はその返事を承諾したことから一時的に二股関係に発展。しかしボートレース大村のG2競艇祭(現 G2モーターボート大賞)の直前に波多野より別れを告げられそれ以降は「憧れのレーサー」と言う存在で波多野を追いかけることを心に決める。
最終回では洞口武雄より
「女子選手のSG制覇はいまだ誰も成し得ていない。それを目標にできるわけだからな。こいつは夢がある!そう思わないか?」、「まぁ、しかし夢にはかなう夢と、かなわない夢がある。それは自分で判断するしかねぇな。できねぇと思ったら。無理することはねえんだぜ?」
という言葉に感銘を受けSG賞金王(現 SGグランプリ)への出場という目標を追いかけることを約束した。
選手のモデルとして当時福岡支部で名前が似ている現埼玉支部の中里優子や現在ではグレートマザーの相性でお馴染みの福岡支部の日高逸子いう説がインターネットを中心に挙げられているが作者の河合克敏は「服部恭子、應治千代美をモデルに作成し褐色肌はオリジナル設定として織り込んだ」とコメントをしている。
服部恭子は52期生としてデビュー。1983年にボートレース住之江にて23年ぶりに開催された女子限定戦にてデビューから3ヶ月の立場ながら初優勝を達成し期待の女子レーサーとして注目を受ける。
しかしその後は夫の関良二がレース中の事故で頭部に重大な障害を受けたことによる介護、死去と悲運な人生を辿っており優勝はこの1回に留まったまま1998年に現役を引退。
應治千代美は松井繁や服部幸男と同じ52期生の大阪支部所属としてデビュー。
「モンスター」の愛称で知られる野中和夫が面倒を見るほどの逸材でわずか1年半にてボートレース桐生の男女混合戦で優勝を飾るも突如現役を引退。
幼少期は両親が突然家出をして一人部屋に取り残される一家離散状態と地獄のような日々を経験し人生を変えるべくボートレーサーを志した。
浜岡猛(はまおか たけし)
波多野の12期上の70期生の先輩レーサーで物語序盤から兄貴分として面倒を見ており波多野のデビュー節であるボートレース平和島のレースにも斡旋。
物語中盤のSGボートレースオールスターにて超抜モーターを引き当て優勝戦に進出も浜岡のトップスタートからの捲りを利用した外の洞口雄大に捲り差されてしまい敗退。レース後には後輩である洞口に優勝を奪われた悔しさからピットで悔しさを前面に出しながら柱を何度も殴り続けた。
しかし物語終盤のSGボートレースダービーにて波多野と洞口雄大の進入合戦が激しくなったところを利用した強烈な一撃で見事にSG初制覇を達成。
お酒を飲み過ぎて酔っぱらったり、次々に出てくる後輩たちに先を越されたりと物語を通じて不遇かつ3枚目キャラクターであった浜岡がようやく報われる瞬間であった。
浜岡のモデルとなったのは東京支部の矢後剛。
時にチルトを跳ね上げ浜岡同様に捲りを得意とする選手でありボートレースファンからは「矢後先生」の愛称をつけられている。
日時 | 2025年 1月11日 |
レース数 | 児島8R |
結果 | 2-5-3 |
倍率 | 45.0倍 |
現在のルールとの違い
実際に選手へ何度も取材を行ったり、全国のボートレース場へ足を運んで丁寧に描かれているモンキーターン。
しかし連載スタートが1997年、終了したのが2005年ということで当時とは大きく異なるルールがいくつか存在しているのでいくつか紹介していきます。
持ちペラ制度の廃止
現在は各ボートレース場でプロペラが管理され抽選で引き当てたエンジンと共に渡されており作中のように休みの日はプロペラを叩いてそれをボートレース場に持ち込むことはない。
しかしプロペラ小屋やプロペラグループは現在でも存在はしており選手たちは休みの日に集まり情報交換、ゲージ作成、選手間での旅行やバーベキューなどを行っている。
持ちペラ時代はトップ選手になるほどフライング休みなどで長期の休養となった際には家とプロペラ小屋だけを行き来するだけの生活が当たり前だったという。
養成所の位置の変更
漫画モンキーターンでは山梨県の本栖湖を訓練場とする本栖研修所で波多野はボートレーサーとして養成していたが、連載途中の2001年より福岡県の柳川市に移転、やまと競艇学校として選手を養成するようになった。
そして、現在はボートレーサー養成所と名称変更をして、さらに養成訓練費用も無償になっている。
本栖時代の養成所チャンプには三角哲男(58期)、太田和美(69期)、横西奏恵(76期)、池田浩二(81期)など36期から87期生が卒業生に該当している。
ヘルメットのデザイン
連載当初のヘルメットはアルミ製のプロテクターが備わったもので、顔全体を覆うものではなかったようで、レース中でも選手の表情を見ることができた。
現在はフルフェイス型になり選手個人で用意するようになり、安全性とデザイン性が格段に良くなった(物語の途中から時代の流れに合わせてこの部分が変更され各々の特徴が出たデザインの物が採用される)
過激なコース合戦
待機行動中の制度が変更された現在のボートレースは基本的に3対3(スロー3人、ダッシュ3人)が枠番通りにコースに構えることが多いがこの当時はピット離れから過熱なコース取りが日常茶飯事だった。
上述の持ちペラ制度も相まって超出足型のペラを武器にSGの優勝戦であっても1号艇の選手が1コースを奪えない・・・ということも当たり前という時代も存在した。
⑤ナイター開催の有無や独自ルール
連載当初はナイター開催を本格的に導入しているボートレース場が少なくボートレース蒲郡やボートレース若松のレースが昼間に行われていた模写がある。
またボートレース尼崎ではフライング防止を選手に促すためのスタート感知システム(SKS)が当時は導入されていた。
これはスタートラインを一定の時間より速く通過した際にヘルメットに装着してある警報機が鳴ることでその選手へのスタートを遅れさせるシステムだったのだが、0.00ギリギリのスタートで競い合い機械の危険信号を上回るスタートを決める選手たちにとっては不評だったこと、レースへの面白味を失う、機械のコストの問題などから2006年に廃止されている。
なおボートレース住之江でも同様にフライング警報装置(FKS)が導入されていたことがある。
現在も存在するモンキーターンの名残
連載が終了後も人気を誇るモンキーターン。
その裏側にあるのはボートレースを題材とした漫画が他に存在しないというのが大きな理由として挙げられますが、現在でもモンキーターンを取り上げたコンテンツが存在しているのも大きく関係している。
パチスロへのコンテンツ展開
2010年よりパチンコ、スロットとしてモンキーターンが導入され一定期間ごとにバージョンの変更が行われている。モンキーターンの漫画やアニメを見たことが無い人でもスロットやパチンコをやったことがあるという人もいるのではないだろうか?
2023年に導入された「スマスロモンキーターンV」は初代モンキーターンの内容を強く受け継いだ作品としてパチスロファンの間で大きく話題となり店舗によっては開店と同時に全台が満席となるほどのメガヒットを生み出す。
チャンステーマ
パチスロで使用されているBGMの1つである「SG RUSH 優勝戦」はそのリズミカルな曲調と疾走感からプロ野球の千葉ロッテマリーンズのチャンステーマとして多くの野球ファンからの人気を誇る。
更に最近では高校野球の応援曲として採用している高校も多く何の原曲か知らなくともこの音楽を知っている人も多い。
またボートレース江戸川の展示航走にも現在はこのBGMが採用されている。
漫画 モンキーターンを読む方法
モンキーターンの漫画版は大手のインターネットの電子コミックサイトにて全巻配信が行われている。(電子書籍リンク)
紙の媒体については全国の古本屋はもちろん、漫画喫茶、インターネットカフェ、サウナや岩盤浴といった温泉施設の漫画コーナーに高い確率で全巻置いてあることがあるのでチェックしてみるとよいでしょう。
なお中古であれば全巻購入しても5000円~6000円で揃えることが可能。
日時 | 2025年 1月11日 |
レース数 | 鳴門10R |
結果 | 2-6-1 |
倍率 | 78.2倍 |
払戻 | 78,200円 |
まとめ
ここまで詳しくモンキーターンについてまとめてきましたがどうでしたか?
既に連載終了から20年近くが経過した今でもボートレーサーはもちろん多くの読者からの人気を誇るボートレース漫画の金字塔のモンキーターンを是非この記事をきっかけに読んでみたいという人が現れると1人のファンである私としても嬉しい限りです。
女子ボートレーサーの平山智加いわく「今は変わってしまった部分もあるが食堂や宿舎、ピットなど完璧に再現している」と隅々まで取材を続け描かれたリアリティーな部分はもちろんのこと、選手同士の恋愛、怪我や衰えとの向き合い、今回紹介してこなかった多くのキャラクターたち1人1人のドラマ性など漫画を読み始めるとその手が止まらないほど吸い込まれる面白さがあるモンキーターンの魅力を今回を語っていきました。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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